Camila Cabello(カミラ・カベロ)は、「The X Factor」をきっかけにFifth Harmonyのメンバーとして一躍注目を集めました。
ただし、彼女の物語はそこで完結しません。
グループとして世界的な成功を収める一方、ツアー先のホテルのバスルームで静かに曲を書き、ラップトップ1台でビートを組み立てながら、「自分自身の物語」を音楽に刻み続けていたと言われています。
転機となったのが、コラボ曲「Bad Things」のヒットです。
この成功によってソロ・アーティストとしての可能性が大きく広がり、彼女はFifth Harmony脱退という大きな決断を下しました。
それは勇気のいる賭けでもありましたが、結果はすぐに形となって表れます。
2017年に発表された「Havana」は、キューバ移民としてのルーツとポップスを融合させた楽曲です。
世界各国で1位を獲得し、カミラは一気に“ラテン・ポップ新時代”を象徴する存在へと躍り出ました。
デビューアルバム「Camila」も全米1位を記録し、「Señorita」でショーン・メンデスとの化学反応が話題になると、彼女は「グループ出身の一人」から「確かな世界観を持つ主役」へと立場を変えていきます。
映画出演や社会活動にも取り組みながら、彼女が一貫して大切にしているのは、移民としてのルーツと、ロマンティックでドラマチックな物語性です。
Fifth Harmonyの一員だった少女が、自分の名前だけで世界のチャートを制するまでの歩みは、まさに現代的なサクセスストーリーと言えるでしょう。
今回ご紹介したいのは、2024年3月28日にYouTubeで公開された「I LUV IT」の映像です。
これはカミラが「清純派ポップスター」というイメージを完全に捨て去り、まったく新しい自分として世界に現れた瞬間の記録です。
グッチ・メインの2009年のヒット曲「Lemonade」を素材として取り入れるという予想外の選択が、交流の場で1万6000件以上の拡散を生んだほどの衝撃を与え、その驚きはミュージックビデオ本編でさらに増幅されます。
監督のニコラス・メンデスと制作会社CANADAが手がけた映像のなかでカミラが繰り広げるシーンは、ケーキを頬張る、犬に追いかけられる、車が大破する、給油機から燃料を直飲みする、目隠し姿で踊るという常軌を逸した混沌の連続です。
そしてそのすべてを、彼女は笑いながら全力でやり切っています。
ポップスターが「壊れた自分を楽しむ」というテーマをこれほど全身全霊で体現した映像は、なかなかお目にかかれません。
Playboi Cartiがコンビニエンスストアを舞台に登場する場面は、混沌としたエネルギーを放つふたりが画面上で初めて交わる瞬間として、観る者の期待を完璧に裏切りながら同時に超えてきます。
アルバム「C,XOXO」の最初のシングルとしてカミラの新章を告げたこの楽曲が、どれほど本気の「脱皮」だったかは、この3分21秒を観れば全部わかります。
再生ボタンを押せば、最初の10秒でもう覚悟が決まるはずで、とくに今すぐ観ることをオススメします。

