Camila Cabello(カミラ・カベロ)は、「The X Factor」をきっかけにFifth Harmonyのメンバーとして一躍注目を集めました。
ただし、彼女の物語はそこで完結しません。
グループとして世界的な成功を収める一方、ツアー先のホテルのバスルームで静かに曲を書き、ラップトップ1台でビートを組み立てながら、「自分自身の物語」を音楽に刻み続けていたと言われています。
転機となったのが、コラボ曲「Bad Things」のヒットです。
この成功によってソロ・アーティストとしての可能性が大きく広がり、彼女はFifth Harmony脱退という大きな決断を下しました。
それは勇気のいる賭けでもありましたが、結果はすぐに形となって表れます。
2017年に発表された「Havana」は、キューバ移民としてのルーツとポップスを融合させた楽曲です。
世界各国で1位を獲得し、カミラは一気に“ラテン・ポップ新時代”を象徴する存在へと躍り出ました。
デビューアルバム「Camila」も全米1位を記録し、「Señorita」でショーン・メンデスとの化学反応が話題になると、彼女は「グループ出身の一人」から「確かな世界観を持つ主役」へと立場を変えていきます。
映画出演や社会活動にも取り組みながら、彼女が一貫して大切にしているのは、移民としてのルーツと、ロマンティックでドラマチックな物語性です。
Fifth Harmonyの一員だった少女が、自分の名前だけで世界のチャートを制するまでの歩みは、まさに現代的なサクセスストーリーと言えるでしょう。
今回ご紹介したいのは、カミラ・カベロが2022年9月10日にブラジル・リオデジャネイロのオリンピックパークで披露した「Don’t Go Yet」のライブ映像です。
この夜の会場には10万人以上が集まった伝説的な音楽祭「Rock in Rio」のステージで、カミラはアンコールの締めとしてこの曲を披露しました。
鮮やかな黄色のトレンチコートに身を包んだ彼女は、マリア・ベセーラやL7NNONなどのアーティストとの共演を次々と繰り広げながら、雨というアクシデントをものともせず10万人を完全に魅了し続けました。
そのエネルギーが最高潮に達した瞬間のアンコールとして「Don’t Go Yet」が鳴り始めるとき、音源としてのラテンポップの完成度を遥かに超えた何かがステージに生まれます。
「Don’t Go Yet」はカミラのキューバ系ルーツへの愛情と、家族との記憶を込めたラテンサウンドの楽曲です。
スペイン語と英語が交差する歌詞と、マンボやサルサのエッセンスをまとったビートは、ブラジルという土地の観客に対して国境を超えたラテン文化の共鳴を引き起こします。
10万人が一体となってそのビートに身を委ねる光景は、音楽が言語を超えて人をひとつにする瞬間のもっとも純粋な形です。
雨のなかでもエネルギーを落とさず10万人を踊らせ続けるカミラのパフォーマーとしての底力と、南米の夜の空気感がすべてこの映像に封じ込められています。
再生ボタンを押せば、最初の金管楽器が鳴り響いた瞬間から、リオの夜の熱量があなたの体のなかに流れ込んでくるはずで、とくに今すぐ観ることをオススメします。

