2004年、神奈川県・湘南で生まれたLANAは、幼いころから音楽が身近にある環境で育ちました。
歌手を目指していた母からは、美空ひばりの「愛燦燦」を使った歌の練習を受けていたそうです。
兄はラッパーのLEX、姉はダンサーのLILIという表現者ぞろいの家族に囲まれながら、互いに支え合って子ども時代を過ごしました。
ただし、その日々は決して順風満帆だったわけではありません。
転機が訪れたのは2020年です。
心身ともにつらい時期を過ごしていたLANAに、兄のLEXが「歌ってみなよ」と声をかけました。
その言葉をきっかけに制作した楽曲「HATE ME」をSoundCloudに投稿すると、再生数が急伸。
大きな反響を呼び、ここからLANAの音楽活動が本格的に動き出します。
その後の成長は目覚ましく、2022年には「FLAME(feat. LEX, Saru jr.fool, taisyov)」でメジャーデビューを果たしました。
2023年には、Spotifyが注目する次世代アーティスト企画「RADAR: Early Noise 2023」に選出。
さらに、日本最大級のヒップホップフェス「POP YOURS」への出演も実現します。
2022年11月に発表されたジャージークラブ調の楽曲「PULL UP」は、TikTokを中心に話題となりバイラルヒット。
2023年2月リリースの「TURN IT UP(feat. Candee & ZOT on the WAVE)」も、スマッシュヒットの兆しを見せました。
派手すぎないメイクやファッション、女性目線のリアルな歌詞が多くの共感を集めています。
LANAは今、ユース世代を代表する新定番アーティストとして、確かな存在感を放っています。
今回ご紹介したいのは、2026年6月17日にYouTubeで公開された中村あゆみの名曲「翼の折れたエンジェル」をカバーしたリリックビデオです。
とくに見どころは、強く張り上げるだけではないLANAの歌声にあります。
「翼の折れたエンジェル」という象徴的なフレーズに、傷ついても前に進もうとする危うさや、誰かを求めるまっすぐな痛みを滲ませています。
原曲の持つスケール感あるメロディを大切にしながら、少しハスキーで生々しいLANAの声が加わることで、物語が遠い時代の名曲ではなくいま目の前で起きている感情のように響いてきます。
映像では歌詞が画面に現れるたびに、ライブ空間に立つLANAの姿が楽曲の感情を支えます。
華やかな演出に頼るのではなく、歌う姿そのもの、カメラに捉えられる横顔や視線、ステージの空気感を通じて曲の「寂しさ」と「強さ」をじっくり見せていく構成です。
とくにサビで「翼の折れたエンジェル」と繰り返される瞬間は歌詞を追うだけでも胸に残り、映像と歌声を合わせて観ることでその切実さがいっそう深く伝わってきます。
この曲には若さゆえの自由、愛への憧れ、そして簡単には埋まらない心の空白が描かれています。
LANAのカバーは、その感情を懐かしの曲として消費するのではなく、世代を越えて通じる「うまく言葉にできない夜の気持ち」として差し出しているのが魅力です。
原曲を知っている人には新しい表情を、初めて触れる人にはまっすぐ心に刺さる物語を見せてくれるこのリリックビデオを、今すぐ観ることをとくにオススメします。

