Camila Cabello(カミラ・カベロ)は、オーディション番組「The X Factor」をきっかけにグループ「フィフス・ハーモニー」の一員として一躍注目を集めました。
しかし、彼女の物語はそこで完結しません。
グループとして世界的な成功を収める傍ら、ツアー先のホテルのバスルームで静かに曲を書き、小型の音楽制作機器ひとつでリズムを組み立てながら、「自分自身の物語」を音楽に刻み続けていたと言われています。
転機となったのが、共演曲「Bad Things」のヒットです。
この成功によってソロアーティストとしての可能性が大きく広がり、彼女はフィフス・ハーモニーを脱退するという大きな決断を下しました。
勇気のいる賭けでもありましたが、結果はすぐに形となって表れます。
2017年に発表された「Havana」は、キューバ移民としてのルーツと軽快なポップスを融合させた楽曲で、世界各国でチャート1位を獲得。
カミラは一気に「ラテン・ポップ新時代」を象徴する存在へと躍り出ました。
デビューアルバム「Camila」も全米1位を記録し、「Señorita」でショーン・メンデスとの共演が話題を呼ぶと、彼女は「グループ出身のひとり」から「確かな世界観を持つ主役」へと大きく立場を変えていきます。
映画出演や社会活動にも精力的に取り組みながら、彼女が一貫して大切にしているのは、移民としてのルーツとロマンティックでドラマチックな物語性です。
フィフス・ハーモニーの一員だった少女が、自分の名前だけで世界のチャートを制するまでの歩みは、まさに現代のサクセスストーリーといえるでしょう。
今回ご紹介したいのは、2022年5月10日にYouTubeで公開されたカミラ・カベロとウィローが共演した「psychofreak」のメイキング映像です。
本編ミュージックビデオで観る者を圧倒した「重力を無視して壁や天井を歩く不条理な世界」が、いかにしてアナログな仕掛けと現場のクリエイティビティによって生み出されたのかを解き明かす約3分半の映像です。
不安や心のざわめきを視覚化したあのダークでトリッピーな映像の裏側に潜入し、ふたりのアーティストの素顔と撮影の熱気をダイレクトに伝えてくれます。
最大の見どころは、カミラやウィローが天地逆転して壁に張り付くシーンの舞台裏です。
一見するとCG合成のように見えるめまぐるしい回転や無重力空間の描写が、実際には緻密に設計された回転式のセットやワイヤーアクション、カメラワークの工夫によって物理的に作り出されていることが明かされます。
ハーネスに吊るされながらも体幹をキープして演技に挑むカミラのプロフェッショナルな姿勢や、監督シャーロット・ラザフォードら制作陣がモニターを見つめながら細部を突き詰めていく様子はとくに引き込まれます。
また、本編のクールでエッジの効いた雰囲気とは対照的な、カミラとウィローの微笑ましいケミストリーも見逃せません。
カットがかかった瞬間にふたりで顔を見合わせて大笑いしたり、ワイヤーにぶら下がったままおどけてみせたりと、現場には終始ポジティブで温かいエネルギーが満ちています。
不安や葛藤という重たいテーマを共有する楽曲だからこそ、ふたりが心を通わせながら楽しんで表現へと昇華させていく舞台裏の空気感が胸を打ちます。
あのミュージックビデオの謎が解けると同時に、カミラとウィローの素顔にも触れられるこの映像を、今すぐ観ることをとくにオススメします。

