1994年、ナイジェリア人の両親のもと、ロンドン・イズリントンで誕生したシムビアツ・アジカウォ。のちに「リトル・シムズ」（Little Simz）として世界に名を知られる存在となります。
幼いころから音楽への情熱を燃やしていた彼女は、7歳でミッシー・エリオットの映像作品に夢中になり、ローリン・ヒル、2パック、ジェイ・Zといった伝説的アーティストへと関心を広げました。これらの影響が、彼女自身の創作活動を動かす大きな原動力となっていきます。

音楽活動に取り組みながら、俳優としてのキャリアもスタート。多才な才能を示し始めましたが、彼女の情熱の中心には常に音楽がありました。2010年から発表したミックステープはアンダーグラウンドで高く評価され、その実力はついにジェイ・Zの目に留まります。
彼が自身の公式サイトでシムズの楽曲を紹介したことで、大きな注目を集めました。さらに、ケンドリック・ラマーが「彼女は最高の一人だ」と称賛したことで、その評価は国際的に揺るぎないものとなります。

2015年、デビュー作「A Curious Tale of Trials + Persons」を発表。以降、自身の体験や社会へのまなざしを込めた深い歌詞と、型にはまらない挑戦的な音作りで作品を世に送り出します。
2019年の「Grey Area」は、英国の権威ある音楽賞マーキュリー・プライズにノミネート。さらにアイヴァー・ノヴェロ賞やNMEアワーズで最優秀アルバム賞を受賞し、その名を確かなものとしました。
そして2021年、キャリアの集大成といえる「Sometimes I Might Be Introvert」をリリース。この作品は批評家から「2021年のベストアルバム」と絶賛され、ついにマーキュリー・プライズを受賞。さらにブリット・アワードでは最優秀新人アーティストにも輝きました。

今回そんな彼女のご紹介したい動画はYoutubeで2015/05/21に公開された「Guess Who」の動画だ！
リトル・シムズとSPACE AGEの仲間たちが参加したこの作品は、いわゆる「音楽映像」ではなく「その場の空気を切り取った一瞬」を形にした特別な映像として制作されています。

SPACE AGEの仲間であるJosh Arcé、Chuck20、Tillaが参加し、編集を加えない一発撮りで撮影された「SHOT 101」シリーズの一つとして公開されました。
映像には、現場の緊張感と若い力のほとばしりがそのまま刻まれています。

とくに注目したいのは、Verssettiとリトル・シムズの二人が監督を務めた「一度きりの撮影」です。
編集による演出を省き、止まることなく動き続ける映像の中で、四人の表現者たちが交わす息づかいが生で伝わってきます。
計算された構成と、その場で生まれる即興が同じ空間に存在することで、仲間同士の結びつきと個々の力がより鮮明に浮かび上がります。
映像を観る者を強く引き込む力があり、思わず息をのむ場面が続きます。

今すぐこの映像を観れば、目を離すことができない緊張感と、若き表現者たちの生きた力に圧倒されるはずです。

出典：Youtube: Little Simz