リトル・シムズ「I Love You, I Hate You」父への愛憎が映像美で炸裂する名曲

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リトル・ミックスは、2011年にイギリスのオーディション番組「The X Factor」第8シーズンから誕生した女性グループです。
番組の歴史上、グループとして初めて優勝を果たした存在として、音楽シーンに鮮烈な印象を残しました。
2022年の活動休止までのメンバーはジェイド・サールウォール、ペリー・エドワーズ、リー・アン・ピノックの3人で、2020年まではジェシー・ネルソンも在籍していました。

デビューシングル「Cannonball」は全英1位を獲得し、続く「Wings」も同じく1位を記録。
その勢いそのままにデビューアルバム「DNA」は初週9万6千枚を売り上げ、1997年以降の女性グループとして最高の初週売上という快挙を成し遂げました。
ポップとリズム&ブルースを軸にしながら、電子音楽や語りのある音楽なども自然に取り入れた楽曲は、時代ごとに進化し続けてきました。

2015年の「Black Magic」は4回のプラチナ認定を受け、2016年の「Shout Out To My Ex」はとくに女性の自立や前向きな気持ちを力強く描いた一曲として幅広い支持を集めました。
この楽曲は2017年の英国音楽賞で「年間最優秀シングル」を受賞しています。
ニッキー・ミナージュと共演した「Woman Like Me」や、2021年に全英1位を記録した「Sweet Melody」など、ヒット曲を挙げればきりがありません。

10年以上の活動で上位5位以内のアルバムを6作連続で送り出し、全英1位シングルは5曲にのぼります。
欧州最大の音楽賞では史上最多となる6回の受賞を果たし、女性グループの可能性を広げ続けてきた存在といえるでしょう。

今回ご紹介したいのは、リトル・シムズが2021年10月25日に公開した「I Love You, I Hate You」の映像です。
この楽曲は、不在だった父親に対する愛憎入り混じる複雑な感情を赤裸々に綴った名曲です。

映像では、暗い部屋を舞台にした「距離感」と「絵画」を通じた心理描写が展開されます。
若い女性と初老の男性が向かい合ってテーブルに座るシーンがあり、彼女が書き物を進めるにつれてテーブルが非現実的なほど長く伸びていき、ふたりの物理的な距離がどんどん離れていくという劇的な演出がなされています。

これは親と子のあいだに生じた埋められない溝や、疎遠になっていく心の距離を視覚的に表現した、美しくも残酷なシーンです。
映像の各所に描かれるキャンバスに絵の具を塗りたくる人々や、恐怖に怯える少年など、抽象的な表現が随所に散りばめられているのも特徴です。

リトル・シムズ自身のラップは後半になるにつれて管楽器の音色とともに激しさと熱量を増していき、映像の最後には暗闇から光の中へと歩み出す姿が描かれます。

「あなたのために許すんじゃない、私のために許すんだ」という力強い決意の言葉とともに、芸術を通じてトラウマから解放されようとする彼女の姿が印象的です。
消えることのない過去の傷と向き合い、許し、前へ進もうとする人間の普遍的な強さと弱さが詰まったこの映像美。

リトル・シムズの魂の叫びを、今すぐ観ることをとくにオススメします。

出典:Youtube: Little Simz

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