して一躍注目を集めました。
しかし、彼女の物語はそこで完結しません。
グループとして世界的な成功を収める傍ら、ツアー先のホテルのバスルームで静かに曲を書き、小型の音楽制作機器ひとつでリズムを組み立てながら、「自分自身の物語」を音楽に刻み続けていたと言われています。
転機となったのが、共演曲「Bad Things」のヒットです。
この成功によってソロアーティストとしての可能性が大きく広がり、彼女はフィフス・ハーモニーを脱退するという大きな決断を下しました。
勇気のいる賭けでもありましたが、結果はすぐに形となって表れます。
2017年に発表された「Havana」は、キューバ移民としてのルーツと軽快なポップスを融合させた楽曲で、世界各国でチャート1位を獲得。
カミラは一気に「ラテン・ポップ新時代」を象徴する存在へと躍り出ました。
デビューアルバム「Camila」も全米1位を記録し、「Señorita」でショーン・メンデスとの共演が話題を呼ぶと、彼女は「グループ出身のひとり」から「確かな世界観を持つ主役」へと大きく立場を変えていきます。
映画出演や社会活動にも精力的に取り組みながら、彼女が一貫して大切にしているのは、移民としてのルーツとロマンティックでドラマチックな物語性です。
フィフス・ハーモニーの一員だった少女が、自分の名前だけで世界のチャートを制するまでの歩みは、まさに現代のサクセスストーリーといえるでしょう。
今回ご紹介したいのは、2022年4月8日にYouTubeで公開され、WILLOW(ウィロー・スミス)がコラボした「psychofreak」の映像です。
カミラの心の中の不安定さを表現した、上下左右が逆転するような不思議な感覚を覚える映像演出が最大の見どころです。
ターコイズブルーの壁と無機質なオフィスのような部屋を舞台に、重力を無視して壁や天井を歩き回るふたりの姿は、地に足が着いていないような不安感や「自分が浮いているように感じる」という歌詞の世界観を見事に視覚化しています。
大胆なデザインの黒いドレスや素肌にジャケットを羽織ったスタイルで苦悩するように身をよじる姿からは、普段の明るい彼女とは異なる「ダークで生々しい感情」が伝わってきます。
フィフス・ハーモニー時代への言及も見逃せません。
「みんなは昔の私がいなくて寂しいって言う、私は15歳の時からこのジェットコースターに乗っている」という、過去のトラウマと決別を歌う赤裸々な歌詞が画面に浮かび上がる瞬間は、ファンにとってとくに胸が締め付けられる感動的なシーンです。
若くしてスターの座に駆け上がったがゆえの苦悩を分かち合うウィローとの美しいハーモニー。
華やかなポップスターの裏側にある「痛み」をアートへと昇華させたこのダークで美しい映像作品を、今すぐ観ることをオススメします。




























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